『マイホームを買ったはいいが、生活費に追われて住宅ローンが払えない』『職場をクビになってお金がない、住宅ローン滞納したらどうなる?』などと住宅ローンでお困りの方もいるかと思います。
以前に比べて低金利の時代でマイホームを購入するのが楽になりましたが、そうは言っても住宅ローンの負担は大きいもの。会社都合で給料が減らされた場合や会社をクビになってしまった場合、怪我や病気で働けなくなってしまった場合は、住宅ローンの支払いが難しくなります。
そこで、今回は『住宅ローンの支払額はどのくらいか?』『住宅ローンを滞納するとどうなるのか?』『住宅ローンを払えないときに取るべき手段』など住宅ローンの各種疑問に回答します。
目次
住宅ローンの支払額はどのくらい?
まずは住宅ローンの平均支払額を見てみましょう。
- 注文住宅:年間158万円、月13.1万円
- 分譲住宅:年間115万円、月9.6万円
- 中古住宅:年間106万円、月8.8万円
(出典:国土交通省 住宅経済関連データ)
高価な注文住宅はさておき、住宅ローンを月8万円~10万円程度支払っているのが通例です。
例えば、3,500万円を金利1%、ボーナス払いなしの35年ローンで借りた場合は下記の通りとなります。
- 毎月の返済額:98,799円
- 返済総額:41,495,580円(利息額:6,495,580円)
さらにマイホームを購入すると住宅ローン以外にも払わなければいけない費用があります。
- 団体生命保険
- 地震保険
- 固定資産税・都市計画税
団体生命保険は都市銀行や地方銀行などの民間の銀行住宅ローンであれば、通常保険料は金利に含まれているので負担はありません。
しかし、フラット35の場合は、毎年別に支払う必要があります。保険料は住宅ローン残高の約0.35%です。例えば、3500万円を35年ローンで借りた場合、団体生命保険の初年度の支払いは125,200円です。
地震保険料の加入は任意です。費用は場所や構造により異なりますが、首都圏であれば、地震保険料は年間2~3万円程度の負担となります。
固定資産税・都市計画税は住宅を保有している場合に毎年かかる税金で、「固定資産税評価額×税率(1.7%)」の金額を支払います。
固定資産税評価額は地価や新築・中古、住んでいる年数などにより異なります。また、新築であれば、当初3年間(3階建て以上の耐火、準耐火構造は5年間)は軽減措置があり、半額となります。
例えば、4,000万円の新築住宅(2階建て)を購入した場合、固定資産税・都市計画税は、当初3年間(軽減分)支払いは10万円程度で、軽減期間終了後は10万円代後半となることが多いです。
住宅ローン、団体生命保険、地震保険、固定資産税・都市計画税などを全て合計すると、平均年間140万円程度(月平均12万円程度)支払っていることになります。
例えば、年収600万円の世帯ですと、手取り450万円程度の内、3分の1程度が持って行かれることになります。マイホームを購入するのもなかなか厳しいですね。
住宅ローンを滞納するとどうなる?
住宅ローンを滞納した場合は、厳しい現実が待っています。滞納して3カ月で住宅ローンの一括返済が求められ、返せない場合は滞納から4カ月~半年程度で競売にかけられます。
さらに、競売にかけられた場合は、市場相場の5割~7割程度の価格で売られてしまうため、お金は手元に残らないどころか、住宅ローンの残債が残り、生活がかなり厳しくなります。
次に住宅ローンを滞納した場合の流れについて詳しく説明します。
- 滞納1週間程度:電話連絡による入金催促
- 滞納1~3カ月:督促状(競売予告通知)による入金催促
- 滞納3カ月:代位弁済予告通知
- 滞納3カ月~4カ月:期限の利益喪失通知&代位弁済通知
- 滞納4カ月~:競売開始決定通知
- 滞納6カ月~:現状調査通知&現状調査
- 滞納8カ月~:競売開始通知
- 滞納10カ月~:競売開始
- 滞納12カ月~:競売終了&強制退去
なお、上記の滞納期間は標準的な例であり、競売までの期間は銀行により異なります。住宅ローンをフラット35で契約している場合は、標準期間より3カ月程度長くなる場合が多いです。
滞納1週間程度:電話連絡による入金催促
引き落とし日に残高がない場合は、滞納翌日~滞納1週間程度で電話で引き落としが出来ていない旨の連絡が来ます。次月の引き落とし日の前に、臨時の引き落とし日を設定されて、そこまでに入金するように指示されます。
この時点であれば、銀行側も単なる支払い忘れと考え、ブラックリスト入りすることもありませんし、臨時の引き落とし日に入金さえすれば、銀行から問題視はされません。ただし、遅延損害金として、滞納一日目から支払日のまでの分、年利14%程度余計に払う必要があります。
滞納1~3カ月:督促状(競売予告通知)による入金催促
電話での入金催促でも入金がなかった場合、督促状による入金催促が来ます。
督促状の内容は銀行によりますが、「滞納が続くと自宅を競売にかけることになる」旨の記載があることが多いです。
銀行側もここまでくると支払いが出来ないことを理解していますから、一度銀行と支払い方法について相談すると良いでしょう。安定した支払いが出来るまでは、返済額の減額や利息だけの支払いなど支払い方法を調整することが出来ますよ。
滞納3カ月:代位弁済予告通知
滞納が3カ月に及ぶと代位弁済予告通知と呼ばれる通知書が郵送で届きます。
住宅ローンの契約をした際に、通常、銀行とは別に保証会社との間で保証委託契約を結びます。一定期間滞納した場合に、滞納者は支払う能力がないために保証会社が代わりに住宅ローンの残額を支払うという契約です。
「保証会社が滞納者に代わって銀行に住宅ローンの残額を支払う」というのが代位弁済と呼ばれるものです。「このまま滞納が続くと、代位弁済を行います」という意味を持つのが代位弁済予告通知です。
ここまでに支払いが出来るようであれば、銀行との住宅ローンの契約はまだ生きています。逆にここまでに支払いが出来ないと今の家に住み続けるのが難しくなります。
滞納3カ月~4カ月:期限の利益喪失通知&代位弁済通知
代位弁済予告通知に記載している支払期日までに支払いが出来なかった場合、期限の利益喪失通知と代位弁済通知と呼ばれる通知書が郵送で届きます。
期限の利益喪失通知というのは、「度重なる滞納により、銀行との住宅ローンの契約は無効になりました。このため、残金と遅延損害金を一括で期限までに支払って下さい」という通知です。
この通知が来た後に一括で住宅ローンを支払い出来る人が稀でしょうから、そのあと引き続き代位弁済通知が来ます。
代位弁済通知というのは、「保証会社が滞納者に代わって銀行に住宅ローンの残金と遅延損害金を支払った。このため、保証会社に残金と遅延損害金を一括で支払って下さい」という通知です。
ここで支払いが出来ないと競売の手続きが開始されます。
滞納4カ月~:競売開始決定通知
代位弁済通知での支払い要求に応じられない場合は、保証会社によって競売手続きが開始されます。
裁判所に競売の申し立てを行った後、裁判所で受理されると、競売開始決定通知という通知が届きます。
これは、「競売を開始したので、もう自由に住宅を売買することが出来ない」という通知です。登記簿には差押登記が付き、以後自分の意思では住宅を売ることが出来ません。
滞納6カ月~:現状調査通知&現状調査
裁判所は競売を行うに当たり、競売で入札する人が参考とするための住宅の現状調査報告書や住宅の入札額を決めるための報告書などを作成します。
報告書を作成するために、裁判所の執行官が滞納者の自宅を訪れて、自宅の中の写真を撮影したり、設備の調査を行います。これが現状調査です。
現状調査を行う1~2週間前に「指定の日時に現状を行います」という現状調査通知が届き、そのあと現状調査となります。現状調査は断ることはできませんし、必要であれば、鍵屋さんを呼んででも調査を行います。
滞納8カ月~:競売開始通知
競売の入札期間を知らせる通知が届きます。この段階で、朝日新聞・読売新聞・日経新聞などの主要紙の夕刊や週間住宅情報などの不動産情報誌に入札情報が掲載されます。
また、新聞に加え、インターネットの競売サイトでも公開されるため、隣人には競売の事実が知れ渡ります。
個人名は掲載されませんが、住所、間取り、家の中の様子などが掲載され、落札者が調査しにくることもあります。さらに闇金業者や怪しい業者からダイレクトメールや電話が来ることがあります。プライバシーは保護されませんのでご注意下さい。
滞納10カ月~:競売開始
競売の入札が開始されます。一定期間の後、開札が行われ、一番高い金額で申し込んだ人が落札者となります。
滞滞納12カ月~:競売終了&強制退去
落札者の決定後、代金の納付を経て、落札者と物件を明け渡しの交渉を行います。
滞納者が明け渡さない場合は、裁判所から強制執行が行われます。強制執行が行われた場合、執行官と業者により荷物は外に運び出されて、処分されます。
住宅ローンを滞納するとブラックになる?
住宅ローンを滞納した場合は、信用情報に事故情報が記録され、ブラックリストに載ります。
ただし、入金忘れで数日延滞した程度では事故情報として扱われません。
事故情報として記録されるまでの期間は銀行により異なりますが、住宅ローンの支払日に入金せず、滞納が1カ月程度続いたら、事故情報として記録されてしまいます。住宅ローンの滞納は他のローンに比べて事故情報としての扱われるまでの期間が短いことが多いのでご注意下さい。
なお、一度信用情報に延滞が記録されてしまうと、延滞解消後、最長5年間は信用情報から消えません。その間はカードローン、クレジットカードなどの審査には通らなくなります。
住宅ローンの滞納には十分にご注意下さい。
住宅ローンを払えないときに取るべき3つの手段
住宅ローンを滞納し、最終的に競売となってしまったら、住むところを失った上に、住宅ローンの残債が残るという暗い結末が待っています。
そこで、住宅ローン滞納後、競売となる前にやっておくべき3つの手段について説明します。
- お金をかき集める
- 銀行に相談する
- 任意売却を行う
お金をかき集める
住宅ローンの滞納が続き、競売となる前にお金をかき集めて住宅ローンを支払えるようにしましょう。
特に住宅ローンを滞納するとすぐに信用情報に傷がつくため、ブラックとなる前に住宅ローンの支払いを行う必要があります。
お金を集める手段としては下記の方法があります。
- 日雇いバイトをする
- メルカリやヤフオクで物を売る
- 親や友人に頼る
- 役所や社会福祉協議会に相談する
また、頼る人がいない場合、時間がない場合は、カードローン・キャッシングを利用してみてはいかがでしょうか。
当サイトでは即日融資できる金融機関を紹介していますので、まずはお金を借りて住宅ローンを支払い、お金が用意出来たら返済すればよいのです。30日間無利息サービスなどで賢くお金を借りるのも手です。
是非、ご検討下さい。
銀行と相談する
住宅ローンを滞納しそうな場合や滞納した場合は、早めに銀行に相談しましょう。銀行側としても住宅ローンを続けてもらう方が金利が取れて利益となるため、相談には応じてくれます。
特に、病気や怪我、一時的な失業など支払いが出来ない理由があり、再建の目途が付きそうな場合は一時的に住宅ローンの支払い額を少なくしてくれたり、利子だけの支払いで待ってくれたりすることが多いです。
なお、滞納が続くと信頼が失われて、銀行側が相談に応じてくれないこともありますので、なるべく早く相談しに行きましょう。
任意売却を行う
お金を集めることも出来ず、銀行との交渉も不調に終わった場合、競売となる前に任意売却を行いましょう。
競売よりは任意売却の方が高く売れることがほとんどですし、強制退去となることもありません。債権者と交渉し、引越し費用ぐらい捻出してくれることもあります。
場合によっては、不動産投資家が購入して、賃貸として現在の場所に住み続けられることもあります。競売と違い、プライバシーも守られます。
さらに、任意売却の費用は成功報酬であり、かつ、債権者である銀行の保証会社が支払うようになっていますので、任意売却に当たり滞納者の負担はありません。
なお、任意売却を行う場合、手続きが難解であることから個人では太刀打ちできません。任意売却専門のコンサルタントにお願いしましょう。
まとめ
住宅ローンを滞納した場合、何度か電話や郵便などにより督促があった後、最短で滞納から4カ月程度で競売手続きにかけられることを説明しました。
また、競売となった場合は、住宅ローンの残債が残るうえに、新聞やインターネットに公示されるため、近所の人に知れ渡り、精神的負担が大きくなります。
競売となる前には銀行との相談や任意売却などやるべきこともありますので、是非本記事を参考にしてください。
住宅ローンの支払いなどで手持ちのお金に不安がある方は、いざという時のために、カードローンやキャッシングを契約しておくのがよいでしょう。