大学を卒業し、新社会人になったときに始まるのが奨学金の返済。
社会人になってから大学時代に借りた奨学金の返済は重くのしかかります。月々1万~3万程度の返済が14年~20年続くわけですから気が遠くなるわけですよね。
奨学金は忘れがちではありますが、紛れもなく『借金』であり、返済が滞ると色々なリスクが発生します。
今回は奨学金の金額や返済などの基本と滞納した場合のリスクや差押えまでの流れ、奨学金が払えないときの対策について説明します。
目次
奨学金とは?奨学金の種類と金額について
一口に奨学金と言っても、種類がたくさんあります。
一番有名で多く利用されているのが日本学生支援機構(JASSO)の奨学金で、無利子の第一種と有利子の第二種があります。
他にも大学独自の奨学金や地方自治体の奨学金、民間団体の奨学金があります。
大学独自の奨学金や地方自治体・民間団体の奨学金は給付型(返済不要の奨学金)が多く、貸与型(返済が必要)であったとしても、延滞に対するペナルティはきつくはありません。
いわゆるブラックリストに載らないものがほとんどで、生活困難者・低所得者への猶予制度や免除制度が整っています。
一方で、日本学生支援機構(JASSO)の奨学金は、滞納に対する処分が厳しく、いわゆるブラックリストに載ってしまうこともあるのです。
そこで、今回は日本学生支援機構(JASSO)の奨学金に的を絞って、滞納のした場合のリスクについて説明します。
奨学金の貸与金額と返済額、返済年数は?
日本学生支援機構(JASSO)の奨学金は無利子の第一種と有利子の第二種があります。無利子の第一種は成績優秀でないと利用できませんが、有利子の第二種は希望者が全員利用できます。
第一種の場合は国公立か私立か自宅か一人暮らし(自宅外)かで奨学金の金額が異なります。また、4年生大学か短大・専門学校(2年生)かでも金額が異なります。
第二種の場合は、月額30,000円、50,000円、80,000円、100,000円、120,000円で金額が自由に選べます。
では、それぞれの場合の貸与額と返済額、返済年数について紹介します。なお、ここでは簡易のため利率は1.0%として計算します。(2016年現在の利率は利率固定方式で0.10%前後です)
4年制大学 第一種奨学金の場合
種別 | 貸与月額 | 返済月額 | 返済年数 | |
---|---|---|---|---|
国公立 | 自宅 | 45,000円 | 12,857円 | 14年 |
自宅外 | 51,000円 | 13,600円 | 15年 | |
私立 | 自宅 | 54,000円 | 14,400円 | 15年 |
自宅外 | 64,000円 | 14,222円 | 18年 |
4年制大学 第二種奨学金の場合
貸与金額 | 返済金額 | 返済年数 |
---|---|---|
30,000円 | 9,892円 | 13年 |
50,000円 | 14,428円 | 15年 |
80,000円 | 17,737円 | 20年 |
100,000円 | 22,172円 | 20年 |
120,000円 | 26,606円 | 20年 |
短大、専門学校 第一種奨学金の場合
種別 | 貸与金額 | 返済金額 | 返済年数 | |
---|---|---|---|---|
国公立 | 自宅 | 45,000円 | 7,500円 | 12年 |
自宅外 | 51,000円 | 8,500円 | 12年 | |
私立 | 自宅 | 53,000円 | 8,833円 | 12年 |
自宅外 | 60,000円 | 9,230円 | 13年 |
短大、専門学校 第二種奨学金の場合
貸与月額 | 返済月額 | 返済年数 |
---|---|---|
30,000円 | 7,005円 | 9年 |
50,000円 | 8,886円 | 12年 |
80,000円 | 13,190円 | 13年 |
100,000円 | 14,428円 | 15年 |
120,000円 | 16,311円 | 16年 |
奨学金の返済開始時期は?
日本学生支援機構(JASSO)の奨学金は大学や短大、専門学校を卒業してから半年後に返済が始まります。
奨学金は10月27日から返済が開始します。
以後は登録した口座から毎月27日(土日祝日は翌営業日)に引き落とされます。
奨学金を滞納した場合はどうなる?ブラックリスト?差押え?
奨学金は就職後の10月27日から毎月27日に口座引き落としで払う必要がありますが、これを滞納するとどうなるのでしょうか?
これは奨学金の滞納月数により状況が異なります。1回・2回滞納した場合と3回以上滞納した場合ではかなり状況が異なるのです。
具体的には下記の通りとなります。
- 延滞1カ月目:翌月27日に2か月分引き落とされる
- 延滞2カ月目:翌月27日に3か月分引き落とされる&延滞金がかかる
- 延滞3カ月目:翌月27日に3か月分引き落とされる&ブラックリスト入りする
- 延滞4カ月目:民間の債権回収会社に回収業務が移管され、取り立てが強化される
- 延滞9カ月目以降:差押え手続きが開始される
以下、詳細を説明します。
延滞1カ月目
翌月27日に2か月分引き落としされます。延滞金は発生しません。
また、日本学生支援機構(JASSO)の職員からの電話と「奨学金返還の振替不能通知」と「個人信用情報機関への登録について」の手紙が来ます。
「振替不能通知」は返済金額が引き落とせなかった旨の記載と次回引き落とし日や金額について記載しています。
「個人信用情報機関への登録について」は、延滞が続くと信用情報機関に登録される旨が記載しています。
いずれにしても、ペナルティはなく、1カ月の延滞であればそこまで気にする必要はありません。
延滞2カ月目
翌月27日に3か月分引き落としされます。延滞2カ月目から延滞金は発生します。
延滞1カ月目と同様に日本学生支援機構(JASSO)の職員からの電話と「奨学金返還の振替不能通知」と「個人信用情報機関への登録について」の手紙が来ます。
延滞金は年利5%で、「奨学金返還の振替不能通知」には延滞金を含めた次回の引き落とし金額が記載されるため、そちらを見ると良いでしょう。
延滞3カ月目
翌月27日に4か月分引き落としされます。延滞3カ月目でブラックリスト入りが確定します。
ブラックリストとはすなわち信用情報機関に事故情報が登録されることで、一回信用情報機関に事故情報が登録されると延滞解消後でも5年間は情報が消えません。
信用情報機関は、銀行やクレジットカード会社、家賃保証会社も参照する情報であり、一旦事故情報記録されると下記のような不都合があります。
- 住宅ローンが借りれない
- マイカーローンやカードローンが借りれない
- クレジットカードが作れない
- 今持っているクレジットカードが使えなくなる
- 各種ローンを使用している人は一括返済が求められる可能性がある
特にクレジットカードをいつも使用している人にとってはまずい状況になります。月々の支払いが回らなくなること間違えないでしょう。
たかが奨学金と思っていても延滞3カ月になるとひどい目に会うことになりますので、延滞2カ月以内に返済できるように準備しましょう。
また、後で説明する「返還期限猶予」制度もありますので忘れずに申請しましょう。
延滞4カ月目
延滞4カ月目に入ると奨学金の管轄が日本学生支援機構(JASSO)から民間の債権回収会社に移管されます。
債権回収会社から催促、督促が来ることになります。債権回収会社はその名の通り、債権(借金のこと)の取り立てを専門に行う会社ですから取り立てが厳しくなります。
電話が多くかかってきたり、催促の文書が多く来るようになります。自宅への訪問や夜間(21時~翌9時)の電話はありませんが、携帯や自宅、勤務先への電話はあり得ます。
電話の口調も厳しいものになるでしょう。
さらには、奨学金を申請するときに立てた連帯保証人(親など)や保証人(親戚など)にも催促・督促が来るようになります。
延滞9カ月目以降
延滞が9カ月目以降になると、裁判による差押え手続きが開始されます。
手続きの開始時期はそれまでの交渉具合や債権回収会社の対応次第です。
手続きが始まると、奨学金&延滞金の全額を一括で返済するように請求が来ます。
一括返済に応じない場合は、裁判所に訴え出て、給料の差し押さえなど法的措置が取られるようになります。
給料は税金や社会保険を除いた手取り額の4分の1までが差押えの対象となります。
奨学金が払えない。どうする?
『手持ちのお金がない。でも返済日は近い』『ブラックリスト入りや連帯保証人への連絡は嫌だ』というときはどうすればよいのでしょうか?
奨学金の返済日は毎月27日と決まっていますし、何もしないと滞納扱いとなってしまいます。
ここでは奨学金を返済するお金がないときの対応策を紹介します。
支払い猶予制度を申請する
まずやるべきことは奨学金支払い猶予制度を利用することです。
ブラックリストや連帯保証人への連絡などのペナルティがなく、奨学金の請求を一時的に停止したり、請求額を少なくしてくれます。
奨学金支払い猶予制度としては下記の2つがあります。
制度名 | 説明 |
---|---|
減額返還制度 | 月々の返済金額を半額にしてくれる制度。その分返済期限が伸びる。 傷病などを除き、通算10年(120か月)まで。 ただし、延滞している場合は適用不可 |
返還期限猶予制度 | 月々の返済一度ストップしてくれる制度。 その分返済期限が伸びる。傷病などを除き、通算10年(120か月)まで。 |
延滞となる前にまずは日本学生支援機構(JASSO)に相談するのが良いでしょう。
いずれの制度も申請には書類を準備する必要があり、認定までに時間がかかりますので早めに手続きを行うことが重要です。
なお、大学を卒業しても就職できなかった場合やフリーターなどでも申込みが出来ますので、返済に困ったらまずは制度を利用してみましょう。
カードローン・キャッシングを利用する
『猶予制度を申請する時間がない』『返済期限が間近で延滞となってしまう』『ブラックリスト入りだけは絶対嫌だ』という方におすすめなのが、カードローン・キャッシングです。
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最終手段は債務整理(自己破産)。しかし…
最終手段としては債務整理(自己破産)がありますが、実際適用するのはかなり難しいでしょう。
自己破産した場合は、奨学金の申込みのときに設定した連帯保証人(親など)・保証人(親戚など)に請求が行くことになります。
しかも、分割ではなく、一括請求です。数百万円の請求が一気に行われることになりますので、連帯保証人・保証人としても支払うのがかなり難しいです。
下手すると共倒れで連帯保証人・保証人も自己破産となります。もちろん、関係性が悪化することとなります。
どうしようもないときは仕方ありませんが、出来れば避けるべきでしょう。
まとめ
学生のときに奨学金を利用した人は、社会人になったら奨学金の返済が始まります。
毎月1~3万円の返済ですが、失業や退職、病気や想定外の出費などにより、コンスタントに返済するのはなかなか難しいのが実情です。
ブラックリスト入りや連帯保証人・保証人への連絡は絶対避けたいものですよね。
返済が厳しくなったら猶予手続きを利用するのがベストですが、申請には時間がかかりますので早めの手続きが必要です。
猶予制度を利用するまでの間にお金が用意できない場合やブラックリスト入りが目前という方は、プロミス、SMBCモビットなどのカードローンをうまく利用すると良いです。
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是非プロミス、SMBCモビットなどのカードローンを使ってみて下さいね。