『学費が足りない』、『大学に受かったのに入学金が払えない』などと学費に関して悩んでいる方におすすめなのが国の教育ローン。
固定金利で年利1.81%と低金利な上に高校から専門学校、大学まで学費や入学金、受験費用、一人暮らしの住居費用、教材費など教育関連の様々な用途に使えるのが嬉しい制度です。
今回は『国の教育ローン』の申込み条件や審査基準、奨学金との違い、利用する上での注意点などの詳細について解説します。
目次
国の教育ローンとは
国の教育ローンとは、国が運営する日本政策金融公庫という金融機関が貸し出しを行う教育ローンです。
教育一般貸付が正式名称ですが、国の教育ローンと呼ばれる方が多いです。
日本政策金融公庫は一般的にはなじみがない金融機関ですが、本店が大手町、支店が全国各地に152か所もあり、規模が大きい金融機関です。
主には銀行が貸し出しを渋るような中小企業やこれから起業する向けの貸付をやっていますが、一般向けとして教育ローンも行っています。
国が運営していることもあり、金利が低く、貸出の条件が優しいサービスとなっています。
銀行から借入れできないような年収が低い世帯や住宅ローン、マイカーローン、カードローン・キャッシングなどの借入れがある人も対象としています。
国の教育ローンの主な特徴は下記の通りです。
低金利&固定金利
国の教育ローンは年利1.81%(平成28年12月現在)で低金利な上に契約時に決めた金利が返し終わるまで続く固定金利であるため、返済計画が立てやすいのが特徴です。
銀行の教育ローンだと年利4%~10%程度のものが多い中、国の教育ローンの低金利はかなりお得です。
母子家庭、父子家庭、年収が低い世帯(200万以下)の場合は優遇されてさらに金利が低くなります。
普通の銀行では考えられない金利です。通常、銀行では年収が低い世帯はリスクが高いとみなされ、金利が高くなります。
なお、金利は随時見直ししていますので、最新の金利は国の教育ローンの公式サイトから確認してください。
最長15年の長期返済
返済期間は最長15年であるため、返済負担が少ないのが特徴です。
交通遺児家庭、母子家庭、父子家庭、年収が低い世帯(200万以下)はさらに優遇されて最長18年まで返済期間が延びます。
使用用途が広い
下記の通り国の教育ローンは使用可能な使い道が幅広いです。
通常の教育ローンは学校に納付する学費に限るものが多いのですが、学業に関わる費用全般がカバーできるのが嬉しいですね。
- 入学金、授業料、施設設備費など学費全般
- 受験料、交通費、宿泊費など受験にかかった費用
- 敷金、礼金、家賃などの在学時に一人暮らしするための住居費用
- 教科書代、教材費、パソコン購入費、交通費、修学旅行費用、学生の国民年金保険料などの学業に関わる雑費
例えば、国公立の発表が始まる前にいわゆる『すべりどめ』で受験した合格した私立大学の入学金や受験費用も対象となります。
国の教育ローンの対象となる学校は大学・短大はもちろん、専門学校、大学院、高校、予備校、外国の学校までカバーします。
中学校卒業以上で就学期間が6カ月以上のものが全て対象となります。
国の教育ローンは誰でも借りれる?申込み条件・審査基準をチェック!
国の教育ローンは貸し出し条件が低い教育ローンではありますが、一定の審査があり、返済可能な方しかお金を借りることが出来ません。
国の教育ローンの契約者は学生本人ではなく、保護者が契約者となり、保護者の方に返済義務が発生します。奨学金は学生本人が契約者ですので、この点が大きく異なるところです。
申込み条件・審査基準は一部しか公表されていませんが、かねがね下記の通りです。
- 世帯年収の上限を超えていないこと
- 契約者に一定の収入があること
- 住宅ローンの返済や家賃・公共料金の支払を滞納していないこと
- 信用情報上、事故や延滞がないこと
- ローンの返済負担率が高くないこと
それぞれの項目について詳細を説明します。
世帯年収の上限を超えていないこと
一般の教育ローンと異なり、貸出制限として世帯年収(所得)の上限があります。
いわゆる、高所得者の人は対象外で、国の教育ローンを利用できません。
具体的には下記の通りです。
扶養する 子供の人数 |
世帯年収 (サラリーマンなど給与所得の方) |
世帯所得 (個人事業主など事業所得の方) |
---|---|---|
1人 | 790万円以下 | 590万円以下 |
2人 | 890万円以下 | 680万円以下 |
3人 | 990万円以下 | 770万円以下 |
4人 | 1,090万円以下 | 860万円以下 |
なお、居住年数が1年未満の場合や返済負担率が高い方、単身赴任の場合などは、子どもが1人・2人の世帯年収の上限が990万円(事業所得は770万円)まで緩和されます。
契約者に一定の収入があること
契約者、すなわち、保護者が働いており、一定の収入があることが条件となっています。
国の教育ローンの公式サイトに申込みに必要な書類として『源泉徴収票または確定申告書(控)』と記載がある通り、年間の収入が一定額を超えており、源泉徴収票が配布される人や確定申告を行う人が対象となっています。
無職や税金を納めないほどの低所得者の方は、基本的には貸し付け対象となりません。
ただし、東日本大震災のような災害があった場合や交通事故にあった場合などの特例はあるようなので、何かしらの事情がある場合は相談してみると良いでしょう。
住宅ローンの返済や家賃・公共料金の支払を滞納していないこと
国の教育ローンの公式サイトに申込みに必要な書類として『預金通帳(最近6ヵ月分以上。住宅ローン(または家賃)と公共料金の両方のお支払い状況を確認できるもの)』という記載があります。
これはつまり、住宅ローンの返済や家賃・公共料金の支払いを直近6か月分以上きちんと支払っていることを証明できないと審査に通らないということです。
6か月分以上の『公共料金(電気、ガス、水道、電話など)のいずれか2種類』+『住んでいる場所の住宅ローン、または、家賃の支払い』が必須条件です。
直近の半年間で公共料金の支払いを滞納している人や住宅ローン・家賃の支払いを滞納している人は審査に落ちる可能性が高くなるので注意が必要です。
なお、預金通帳でなくてもクレジットカードの明細やコンビニ支払いの明細など、支払っていることを証明できる書類があれば問題ありません。
信用情報上、事故や延滞がないこと
国の教育ローンの審査では、他のローン(住宅ローン、マイカーローン、カードローンなど)と同様に信用情報の調査を行います。
信用情報とは銀行や消費者金融、クレジットカード会社が加盟している信用情報機関が持つデータのことで、各種ローンの申込み状況や支払い状況、自己破産や債務整理などの情報を蓄積しています。いわゆるブラックリストと呼ばれるものです。
住宅ローンやマイカーローン、カードローンやクレジットカードの延滞や支払い遅延があった場合には、必ず信用情報に蓄積されるため、各種ローンの延滞経験がある方は国の教育ローンの審査には通らなくなります。
なお、1~2週間程度の遅延(うっかりミスに該当するもの)であれば、信用情報に記録されることはありませんのでご安心ください。
信用情報については下記の記事で解説していますので、参考にどうぞ。
ローンの返済負担率が高くないこと
現在負担している住宅ローンやマイカーローン、カードローンの返済に加えて、今回借入れする教育ローンの返済を始めたときに、収入に占める返済負担率が高くないことが条件となります。
例えば年収200万円の人(月収16~17万円)が年間100万円(月々8~9万円)の返済をするのはかなり無理がありますよね?この場合は返済負担率が50%となりますが、国の教育ローンを含めた返済負担率が30%~35%程度が上限と推定されます。
例えば、住宅ローンのフラット35は、年収400万円未満の方は返済負担率30%以下、年収400万円以上の方の総返済負担率は35%以下が条件ですので、同様の返済負担率と考えられます。
住宅ローン、マイカーローン、カードローン、クレジットカードのキャッシングなどで借入れ額が多い人は審査落ちする可能性が高くなりますのでご注意ください。
国の教育ローンと奨学金の違いは?
学費・教育費に困ったときに頼りになるのが奨学金ですが、国の教育ローンと奨学金は何が異なるのでしょうか?
国の教育ローンのと奨学金で有名な日本学生支援機構の奨学金の主な違いは下記の通りです。
国の教育ローン | 奨学金 | |
---|---|---|
契約者 | 保護者 | 学生本人 |
申込み時期 | いつでも可能 | 予約採用:5月~6月頃(第一種、第二種)、10~11月頃(第二種) 在学採用:5月~6月頃(第一種、第二種) |
申込み窓口 | 日本政策金融公庫の各支店 銀行、信用金庫などの代理店 |
在学中の学校 |
受け取り 方法 |
申込み後20日程度で一括 | 入学後(5月以降)毎月定額 |
限度額 | 子供1人あたり350万円以内 海外留学資金の場合、最大450万円以内 |
第一種奨学金:月額4.5万円~6万円 (国公立・私立・自宅内外で異なる) 第二種奨学金:月額3~12万円から選択 |
返済開始 時期 |
借り入れの翌月 | 卒業後の10月 |
主な違いは契約者と受け取り方法です。
国の教育ローンは契約者が保護者で保護者に返済義務が発生しますが、奨学金は学生本人が契約者となり本人が返済を行う義務が発生します。
また、国の教育ローンはいつでも申し込めていつでも受け取ることが出来るので、入学前でも入学金や受験費用として使用することが出来ます。一方で、奨学金は入学後にしか受け取れないので入学金として使うことが難しいです(ろうきんを通せば借りることが出来る場合もあります)。
入学金や入学時に納付する学費が払えない場合は、国の教育ローンを利用し、在学中の学費は奨学金を利用するのがベストな方法です。
国の教育ローンの裏技。お得な利子補給制度とは?
国の教育ローンは金利が年利1.81%です。
例えば、200万円を返済期間10年間で借りた場合、年間18,630円利息を負担しなければいけませんが、この利息負担を減らすことが出来る制度があるのです。
一部自治体に限定されますが、例えば千葉県成田市の場合、申請すれば誰でも『最長7年間利息の半額を補給する』制度があるのです。
該当の自治体に住んでいる方は利用しない手はないでしょう。
利子補給制度を実施している自治体は下記の通りです。
- 北海道名寄市
- 北海道阿寒郡鶴居村
- 宮城県仙台市
- 山形県酒田市
- 福島県南相馬市
- 茨城県神栖市
- 埼玉県深谷市
- 埼玉県富士見市
- 埼玉県吉川市
- 埼玉県児玉郡美里町
- 埼玉県北葛飾郡松伏町
- 長野県東御市
- 長野県上伊那郡南箕輪村
- 長野県下伊那郡下條村
- 千葉県成田市
- 千葉県市原市
- 千葉県白井市
- 富山県中新川郡立山町
- 岐阜県山県市
- 岐阜県郡上市
- 静岡県賀茂郡東伊豆町
- 鳥取県
- 香川県高松市
- 熊本県阿蘇郡南阿蘇村
国の教育ローンの注意点
国の教育ローンは低金利で低収入の方にも門戸を広く開けている便利な制度ですが、いくつか注意点があります。
ここでは国の教育ローン利用時の注意点を紹介します。
申込みから受取りまでに時間がかかる
国の教育ローンは申込みから審査結果回答まで10日間程度、そこから受け取りまで10日間程度かかり、合計20日程度必要です。
十分な年収や他のローンの返済負担が少ない人は時間がそこまでかからないでしょうが、審査のボーダーラインにいる人はさらに審査に時間がかかる場合もあります。中には審査結果回答だけで2週間~1カ月程度かかったという人もいます。
入学金の支払いなどで支払い期日が迫っている人は、早めに申し込むのがベストですが、ローンのお金を受け取るまでのつなぎ融資として無利息のカードローンに申し込むのもスマートなやり方です。
無利息のカードローンとしては、30日間無利息サービス(※)を実施しているプロミスがおすすめです。
※メールアドレス登録とWEB明細利用の登録が必要
お金を借りるのが初めてという方が多く利用しているサービスですので、不明点があれば電話で親切に答えてくれますよ。すぐに借りたい!今日中に借りたいという人もニーズに合わせて迅速に借入が出来ますので安心です。
国の教育ローンを受け取るまでの間だけプロミスを利用するのはとても賢い利用方法です。当日中やお急ぎで借入れしたい人はプロミスの即日融資について下記の記事にまとめていますので是非ご参考にしてください。
連帯保証人もしくは保証料が必要
国の教育ローンでは、金利が低い代わりに連帯保証人を立てるか、保証機関に保証を受ける必要があります。
連帯保証人をお願いできる親族がいれば良いですが、返済できなくなった場合は連帯保証人が立て替える必要があり、リスクが高いのでお願いしづらいですよね。
連帯保証人を立てるのが難しい場合は保証料を払って保証機関に保証をお願いする必要があります。
保証料は例えば200万円を10年間借りる場合で92,826円です。保証機関の保証を受ける場合は、この保証料が引かれた金額を受け取ることとなりますので、国の教育ローンを申し込み時に保証料を考慮した金額で申し込んだ方が良いでしょう。
追加融資には再度審査が必要
申し込んだ金額では入学金や学費が足りなかったという場合は追加融資を申し込むことになりますが、追加融資は簡単ではありません。
当初の申込みと同じ書類を用意して再度審査を受ける必要があります。融資までの時間も当初申し込み時よりもかかることが想定されます。
必ず学費に必要十分な金額を計算した上で、国の教育ローンを申し込むようにしましょう。
国の教育ローンまとめ
国の教育ローンは低金利かつ固定金利で、いつでも申し込めてお金を受け取れる、使い勝手の良い教育ローンです。
特に奨学金では利用できない入学前に払う学費(入学費、前期学費など)のために利用すると良いでしょう。
ただし、今まで説明した通り、国の教育ローンを利用する上ではいくつか注意すべき点がありますので確認してから申込みをしてくださいね。
- 申込みからお金の受取りまでに20日間程度時間がかかる
- 追加融資は簡単ではないため、十分な金額で申込みが必要
- 保証料を払うもしくは連帯保証人が必要
- 自治体によっては金利補助制度があるのでうまく活用するのがベスト