児童育成手当は児童扶養手当と同じように、母子家庭・父子家庭を支援することを目的とした制度です。
しかしながら、児童育成手当は東京都のみで実施されている制度なので、制度自体を知らない人も多いでしょう。
申請するだけで毎月13,500円がもらえるお得な制度です。
今回は児童育成手当について、支給額や申請方法、手当受給時の注意点についてご紹介します。
目次
児童育成手当とは
児童育成手当は、東京都のみの独自制度で、母子家庭や父子家庭の経済的な負担を軽減するために支給される手当です。
児童扶養手当と似たような制度です(⇒児童扶養手当の解説はこちらの記事を参照)。
所得制限はありますが、子ども1人につき13,500円が支給されます。
児童扶養手当は子どもの人数が増えても1人あたり最大5,990円しか増えませんが、児童育成手当は『子どもの人数分×13,500円』もらえるので、子どもを多く抱えているパパ・ママには嬉しい制度です。
児童育成手当という名称ではありますが、児童扶養手当と同じく、手当は保護者の口座に振り込まれて、育児に限らず生活費として保護者が自由に使えます。
児童育成手当の所得制限と支給額、支給日、条件
児童育成手当をもらうためには、保護者の所得額(給料の支給額から給与所得控除額などを引いた額)が一定以下である必要があります。
保護者の所得が高い場合は、所得制限に引っ掛かり、手当が全くもらえません。
児童育成手当の所得制限は扶養人数により変わる
児童育成手当をもらうための所得制限は扶養親族の人数により変わります。
扶養親族とは生計を同一にしており、年間の所得が38万円以下(年収103万円以下相当)であることです。
例えば、18歳未満の子ども2人(無収入)を扶養している場合は、扶養親族は2人。子ども2人と母親(いずれも無収入)と同居している場合は、扶養親族3人と数えます。
扶養人数に応じた年収上限と所得上限は、下記の表のとおりです。
下記表の上限を超えている場合は、児童育成手当をもらうことが出来ません。
なお、下記表の年収は給与所得控除・(特定)寡婦控除以外の控除がなく、子どものみを扶養している場合を想定しています。
各種控除に当てはまる方(障がいを持っている方、学生の方、扶養控除に該当する親族がいる方など)は年収上限が変わりますので、詳しくは区町村に確認してみてください。
扶養人数 | 年収上限(目安) | 所得上限 |
---|---|---|
0人 | 581.7万円 | 368.4万円 |
1人 | 629,2万円 | 406.4万円 |
2人 | 674.8万円 | 444.4万円 |
3人 | 717.1万円 | 482.4万円 | 4人 | 759.3万円 | 520.4万円 |
児童育成手当の支給額
児童育成手当の支給額は下記の通りです。
支給額=子どもの人数×13,500円
例えば、子どもを3人抱えるシングルマザーの場合は、毎月40,500円、年間合計で486,000円手当がもらえます。
これだけで随分生活が楽になる手当ですので、もらわなければ損ですね。
児童育成手当の支給日
児童育成手当の支給が認定されると、認定の翌月分から支給されます。
毎年2月、6月、10月にそれぞれの前月までの4ヵ月分の手当が支給されます。
児童育成手当は口座振り込みによる支給です。児童育成手当申請時に記入した保護者の口座に対して振り込まれます。
支給日 | 対象月 |
---|---|
2月12日 | 前年10月~1月分 |
6月12日 | 2月~5月分 |
10月12日 | 6月~9月分 |
なお、支払日(振り込み日)は12日(休日の場合はその前の日)のところがほとんどですが、自治体によって異なりますので、住んでいる区町村に問い合わせてください。
児童育成手当の受け取れる条件
児童扶養手当は0歳から18歳の子どもの内、母子家庭や父子家庭など父母どちらかしか一緒に住んでいない場合にもらうことが出来ます。
具体的には下記のような条件の場合です。
- 父母が離婚した児童
- 父母どちらかが死亡した児童
- 父母どちらかが障害を持つ児童
- 父母どちらかの生死が明らかでない児童
- 父母どちらかが1年以上刑務所に入っている児童
- 父母どちらかから1年以上遺棄されている児童
- 父母どちらかが裁判所からDV保護命令を受けた児童
- 親が未婚の児童(内縁関係は除く)
なお、18歳の子どもは18歳に到達して最初の3月31日(年度末)までは受け取れます。
その他、細かい条件などもありますので、まずはお近くの役所に問い合わせてみると良いでしょう。
児童育成手当の申請方法
児童育成手当は、受給資格があっても請求しないと権利が発生しません。
児童育成手当を受給するには、お住まいの市区町村の役所で認定請求書を提出し、認定を受ける必要があります。
児童育成手当の認定請求に必要な書類
児童育成手当に必要な書類は下記の通りです。
自治体により若干異なる場合がありますので、お住まいの区町村のホームページなどで確認するようにしてください。
- 認定請求書
- 請求者及び児童の戸籍謄本(発行から1か月以内のもの)
- 請求者の所得証明書(当該年度に引越しをしてきた方のみ)
- 請求者名義の預金通帳、または、キャッシュカード
- 印鑑
- 個人番号カード、または個人番号通知カード
- 免許証、健康保険証などの本人確認書類
児童育成手当受給中に必要な届出
現況届
児童育成手当を受給している人は、毎年6月に更新の手続き(現況届)が必要になります。
住んでいる地域の役所から現況届用紙が郵送されるので、必要事項を記入の上、指定の書類を添付して返送してください。
現況届を提出しないと受給資格がなくなりますので注意が必要です。
資格喪失届
児童育成手当を受給中に母子家庭や父子家庭でなくなった場合には、住んでいる地域の役所への資格喪失の手続きが必要になります。
下記のような条件に当てはまる場合には役所に資格喪失届を提出しに行きましょう。
- 婚姻、内縁関係などでひとり親家庭等でなくなったとき
- 刑務所に入っている父・母が出所したとき(仮出所を含む)
- 遺棄していた父又は母が帰宅したり、電話や手紙など安否を気遣う連絡や送金があったとき
- 児童と別居したとき
- 海外に移住した場合
- その他支給要件に該当しなくなったとき
なお、児童育成手当の受給条件に当てはまらなくなったのに、手当をもらい続けた場合や資格喪失届の提出が遅れた場合は、過去に受け取り済みの児童育成手当を返納するように求められます。
早めに手続きを行うようにしてください。
その他届
その他、氏名・住所・銀行口座・印鑑の変更、受給者が死亡したときなどにも届出が必要となります。
児童扶養手当と児童育成手当の違い、および児童育成手当受給時の注意点
母子家庭・父子家庭の強い味方である児童扶養手当と児童育成手当(⇒児童扶養手当の解説はこちらの記事を参照)。
所得制限はあるものの、双方の手当を同時にもらうことが出来る嬉しい制度です。
しかし、児童扶養手当と児童育成手当では同じような名称でありつつ、中身は異なるものです。
次からそれぞれの違いと児童育成手当だけ注意すべてき点について説明します。
児童扶養手当と児童育成手当の違い
まず大きな違いとして、児童扶養手当は国の制度、児童育成手当は東京都独自の制度です。
児童育成手当は東京都に住んでいないともらえない手当ですが、児童扶養手当はどこに住んでいてももらえます。
他にも下記のような違いがあります。
所得制限の上限・計算方法
児童扶養手当は所得制限が厳しく、ある程度の給料をもらっている方は手当をもらうことが出来ません。
また、養育費の8割が所得として扱われるため、養育費を多くもらっている方は、児童扶養手当の対象外となる可能性があります。
一方、児童育成手当は所得制限がそこまで厳しくないため、児童扶養手当がもらえなくても児童育成手当はもらえるという方が多くいます。
支給額・支給日
児童扶養手当は所得額に応じてもらえる額が変わりますが、児童育成手当は所得額に関係なく、一律同じ金額がもらえます。
また、子どもの人数に応じてもらえる額も変わります。
比較すると下記の通りです。
子どもの人数 | 児童扶養手当 | 児童育成手当 |
---|---|---|
1人 | 9,990円~42,290円 | 13,500円 |
2人 | 14,980円~52,280円 | 27,000円 |
3人 | 17,980円~58,270円 | 40,500円 | 4人 | 20,980円~64,260円 | 54,000円 |
また、児童扶養手当と児童育成手当の支給日も異なります。
児童扶養手当は毎年4月、8月、12月に4か月分が振り込まれますが、児童育成手当は毎年2月、6月、10月に4か月分振り込まれます。
税金の取り扱い
児童扶養手当は非課税で、税金がかかりませんが、児童育成手当は税金がかかる場合があります。
しかも、確定申告が必要となるのです。詳しくは次に説明します。
児童育成手当が年20万円を超えると確定申告が必要
児童育成手当は非課税ではなく、税金がかかる手当なのです。
「雑所得」扱いとなり、児童育成手当が年間20万円を超える場合は確定申告が必要となります。
(児童育成手当で確定申告をするケースはあまり聞いたことがありませんが。。)
まとめ
児童育成手当は東京都のみの制度になりますが、毎月13,500円がもらえるお得な制度です。
申請しないともらえないので、母子家庭・父子家庭の方は必ず申請するようにしましょう。
また、東京都以外でも名称は違うものの、ひとり親家庭等日常生活支援や、ひとり親家庭児童等入学祝金および卒業祝い金といった名称で、ひとり親家庭に対して手当を給付している自治体もあります。
まず、住んでいる地域の役所に、ひとり親の支援制度が存在するかどうかを確認してみましょう。
子ども一人につき、毎月13,500円もらえるので、東京都に住んでいるならばもらわなきゃ損です。
母子家庭・父子家庭の方でお金に少し困っている方はぜひ参考にしてください。