子どもがいる家庭に必ず支給される『児童手当』をご存じですか?
子育て世帯の生活の安定と子どもの育成を支えるための制度で、毎月5,000円~15,000円が支給されます。
全員がもらえる手当ではありますが、家で待っているだけでは手当はもらえません。子どもが生まれたら必ず役所に申請が必要です。
今回は児童手当について、支給額や申請方法、手当受給時の注意点についてご紹介します。
目次
児童手当とは
児童手当とは、中学校卒業までの子どもを育てている保護者全員に子ども一人当たり毎月5,000円~15,000円が自治体から支払われる手当てです。
1972年に開始された制度で、一時は『子ども手当』と呼ばれていたこともありました。
児童手当という名称ではありますが、保護者の口座に振り込まれて保護者が自由に使えます。
児童手当の支給額と支給日
児童手当の支給額は子どもの年齢や人数、受給者の所得に応じて、以下のとおり支払われます。
ただし、保護者の所得が所得制限額以上の場合は0歳~中学生まで一律月額5,000円となります。
年齢 | 支給額 |
---|---|
0歳から3歳の誕生月まで | 15,000円(一律) |
3歳誕生月の翌月から 小学校卒業まで |
|
中学生 | 10,000円(一律) |
所得制限以上 | 5,000円(一律) |
※「第3子以降」とは高校卒業までの子どものうち、3番目以降の子どもを指します
児童手当支給額の具体例
児童手当は中学生まで支給されますが、小学生で支給される額(10,000円 or 15,000円)の第3子の数え方には18歳まで含まれるため、児童手当の計算はややこしいものです。
ここでは、実例を出して、児童手当の支給額を見ていきましょう。
なお、正確な支給額は役所に行けば簡単に教えてもらえます。児童手当の支給額に不明点がある方は市区町村に問い合わせてみましょう。
17歳、11歳、5歳の計3人の子どもを持つ家庭
年齢 | 17歳 | 10歳 | 4歳 |
---|---|---|---|
児童の数え方 | 第1子 | 第2子 | 第3子 |
児童手当の支給額 | 対象外 | 10,000円 | 15,000円 |
合計して月25,000円手当がもらえます。
19歳、16歳、13歳、5歳の計4人の子どもを持つ家庭
年齢 | 19歳 | 16歳 | 13歳 | 5歳 |
---|---|---|---|---|
児童の数え方 | 対象外 | 第1子 | 第2子 | 第3子 |
児童手当の支給額 | 対象外 | 対象外 | 10,000円 | 15,000円 |
合計して月25,000円手当がもらえます。
5歳、3歳、1歳の計3人の子どもを持つ家庭(所得制限以上)
年齢 | 5歳 | 3歳 | 1歳 |
---|---|---|---|
児童の数え方 | 第1子 | 第2子 | 第3子 |
児童手当の支給額 | 5,000円 | 5,000円 | 5,000円 |
合計して月15,000円手当がもらえます。
児童手当の支給日
毎年2月、6月、10月にそれぞれの前月までの4ヵ月分の手当が支給されます。
児童手当は口座振り込みによる支給です。児童手当申請時に記入した保護者の口座に対して振り込まれます。
なお、具体的な支払日(振り込み日)は自治体によって異なりますので、住んでいる市区町村に問い合わせてください。
支給月 | 対象月 |
---|---|
2月 | 前年10月~1月分 |
6月 | 2月~5月分 |
10月 | 6月~9月分 |
児童手当の対象者は?所得制限はある?
児童手当の対象者や所得制限について詳細を説明します。
日本国内に住んでいる子どもが対象
児童手当をもらう条件としては、日本国内に住んでいるということです。
海外移住の場合は手当をもらうことはできませんが、別途詳細な条件がありますので役所に聞きましょう。海外留学をしている場合は今までと継続して手当をもらうことが出来ます。
また、原則として父母のどちらか所得の高い人が受給者となり、受給者の口座に振り込まれます。
父母と子どもが同居していない場合は下記の条件に従って該当者の口座に振り込まれます。
- 父母が離婚協議中などで別居している場合、子どもと同居している人に優先的に支給
- 父母が海外に住んでおり、父母が日本国内で子どもを養育する人を指定した場合、その指定者に支給
- 子どもを養育している未成年後見人がいる場合、その未成年後見人に支給
- 子どもが施設に入所している場合や里親などに養育を委託している場合、施設の設置者や里親に支給
児童手当の所得制限
児童手当には所得制限があり、所得制限を超えると子どもの年齢によらず手当額は一律5,000円です。
所得制限は下記の通り、手当を受け取る扶養親族等の数により異なります。
なお、父母ともに働いている場合は、どちらか所得が高い方を基準に所得制限の判定を行います。
扶養者の数 | 所得制限額 | 年収換算額(目安) |
---|---|---|
0人 | 622万円 | 833万円 |
1人 | 660万円 | 875万円 |
2人 | 698万円 | 917万円 |
3人 | 736万円 | 960万円 |
4人 | 774万円 | 1,002万円 |
5人 | 812万円 | 1,042万円 |
※扶養親族の数が6人以上の場合、所得制限額は、1人につき38万円を加算した額になります。
児童手当の申請方法
子どもが生まれた場合や他の市区町村から転入した場合は、現在住んでいる市区町村に「認定申請書」を提出する必要があります。
自分から申請をしなければ児童手当をもらうことが出来ませんので、必ず申請をするようにしましょう。申請後認定を受ければ、原則として申請した翌月分から支給されます。
なお、子どもが生まれた場合は、先に出生届を出してからの児童手当の申請を行うこととなります。市区町村に出生届を出すついでに児童手当の申請を行うようにしましょう。
役所の混雑具合にもよりますが、出生届関連の諸々の手続きを合わせても1時間程度で完了します。
児童手当の申請必要な書類
下記の全てが必要となります。
- 保護者名義の金融機関の口座番号がわかるもの(預金通帳など)
- 保護者の健康保険証の写し又は年金加入証明書
- 保護者の個人番号(マイナンバー)がわかるもの(個人番号カード、通知カード、住民票の写しなど)
- 本人確認書類(運転免許証、個人番号カードなど)
- 印鑑
他にも所得証明書の提出が必要な場合があります。
申請は出生(転入)から必ず15日以内に
児童手当は、原則、申請した月の翌月分からの支給になります。
ただし、月末の出産・転入といったやむを得ない事情があると承認された場合、申請日が翌月になっても出産(転入)の翌日から15日以内であれば、申請月分から支給されます。
申請が遅れると、遅れた月分の手当を受け取ることができなくなりますので注意してください。
児童手当受給中に必要な届出
児童手当は申請してからずっともらえるわけではありません。
児童手当を継続するためには毎年現況届を提出する必要があります。また、子どもの状況に応じて別途届出が必要となる場合があります。
毎年提出が必要な現況届
児童手当の認定を受けた後も、引き続き児童手当を受給するために毎年6月に現況届の提出が必要です。
現況届は毎年6月1日時点での子どもの年齢、同居の有無など状況を把握し、6月分以降の児童手当を引き続き受給する要件を満たしているかどうかを確認するためのものです。
提出しないと、6月以降の手当が支給されなくなります。また、提出が遅れると提出した月以降の児童手当しかもらえない可能性があります(※)。
※市区町村によっては、現況届の提出が遅れても提出さえすれば支給されることもあります。ただし、提出が遅れた分、支給されるのも遅くなります。
児童手当の現況届、なるべく郵送でとあるんだけど、書類がわかりづらくて去年も記入漏れがあったんで、直接行った。やっぱり記入漏れがあった(笑)
たしか7月始めくらいまでなので、お子さんいる方はお忘れなく…。うち、一昨年はど忘れして10月の支給が1ヶ月遅れました^^;
— もっくんカフェ (@mokkun_cafe) June 22, 2016
いずれにしても現況届の提出忘れに注意してください。
その他必要な届出
引越しした場合や子供の名前が変わった場合など下記の条件に当てはまるときには、市区町村に届出が必要になる場合があります。
何か変わったことがある場合は市区町村に問い合わせてみましょう。
- 支給対象となる子どもがいなくなったとき
- 同じ市区町村の中で住所が変わったとき、または養育している子どもの住所が変わったとき
- 受給者または養育している子どもの名前が変わったとき
- 国内で子どもを養育している人が、海外に住んでいる父母から「父母指定者」の指定を受けるとき
住民税・保育料など各種公共料金滞納時に児童手当はもらえる?
住民税や国民年金、国民健康保険料、保育園・幼稚園の保育料、学校給食費を滞納している場合でも児童手当はもらえます。
滞納しているからといって、申請手続きを行わないと児童手当がもらえず損することになりますので、まずは市区町村で申請をしましょう。
ただし、滞納が続いており、本人と連絡が取れずに悪質と判断された場合は、振り込まれた児童手当が差押えとなる可能性があります。
差押えとなる場合は前もってその旨の予告の郵便が届くはずですので、その時点で市区町村に支払いの相談をしましょう。
まとめ
児童手当は、きちんと手続きさえすれば、子どもが中学卒業するまで支給される子育て家庭にとって大変ありがたい制度です。
何かと物入りな育児期間に生活費の一部として使うほか、子どもの学費、学資保険での運用など各家庭で様々な使い道があります。
将来ある子どものために有効な使い道を考えましょう。