総量規制とは?総量規制を分かりやすく解説!

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総量規制解説

銀行・消費者金融のカードローン・キャッシングでお金を借りるとき、「総量規制」という言葉を聞いたことはありませんか?

お金を借りるのに避けては通れない総量規制、賢くお金を借りるためにも、ここでは総量規制の仕組みや対象となる借り入れなどを丁寧に解説していきます。

「総量規制」とは

総量規制とは、簡単に言えば「年収の3分の1以上のお金を借りられない」制度です。

たとえば、年収300万円の人は、消費者金融などの貸金業者から合計100万円を超えるお金を借りることは出来ません。

総量規制が出来る前は、1社で多額のお金を借りられなくても、複数の業者から少額ずつお金を借りれば問題なくお金を借りられました。そこに歯止めをかけたのが総量規制で、少額の借入を複数の業者から行なったとしても、その合計が年収の3分の1を超えてしまうと、新規の借入はできません。

総量規制は、借りすぎを防ぐ制度なのです。

なお、銀行のカードローンなどは、総量規制の対象外となっています。後ほど詳細に説明します。

なぜ「総量規制」が出来たのか?

1990年代後半から2000年代初めにかけて、お金の借りすぎが社会問題となっていました。

これまでお金を借りることに消極的だった人も、便利な消費者金融の登場、発展によって、お金を借りることに抵抗がなくなってきました。消費者金融でカードを発行し、カードローンで少額のお金を借りるケースが増えてきました。

気軽にちょこっとお金を借りる、そんなライフスタイルが定着して、消費者金融は勢力を伸ばしてきました。

しかし、それに伴い困った事態もいくつか発生し、その1つが「多重債務」です。

気軽にお金を借りられるゆえに複数の貸金業者から少しずつ借金をして、結果的には借金の額が膨大になってしまうというケースが出てきました。その結果、自己破産や債務整理、さらには借金苦による自殺が増え、この状態を改善するために設けられた制度が「総量規制」です。

総量規制と改正貸金業法

総量規制は、改正貸金業法に盛り込まれています。2006年の貸金業法改正によって、総量規制以外にもグレーゾーン金利の廃止、執拗な取り立て行為の禁止やヤミ金対策などが盛り込まれています。

改正貸金業法の主な制定内容

  1. 取立て行為の規制
  2. 自殺の生命保険金による弁済禁止
  3. 総量規制
  4. グレーゾーン金利の廃止
  5. 信用情報機関の設立
  6. ヤミ金融対策の強化

改正貸金業法が成立したのは2006年でしたが、貸金業者側のシステム準備や利用者側の準備も考慮されて、段階的に施行されてきました。そして2010年6月18日に、改正貸金業法が全て施行されたのです。

総量規制の対象範囲は?

総量規制ルール

年収の3分の1以上お金を借りることができない「総量規制」ですが、実は対象外となるケースもあります。
ここでは総量規制の対象となる業者、対象となる取引を説明します。

総量規制の対象となる業者

総量規制が適用されるのは消費者金融を中心に貸金業法において貸金業者として貸付を行なっている人たちです。これらの業者からは年収の3分の1以上お金を借りることができません。

消費者金融

総量規制の対象となる借入は、まずは「消費者金融」があります。
アコムやプロミスといった消費者金融から借入を行なうと、総量規制の対象となります。

信販会社

消費者金融以外にも、似たようなビジネスを展開しているところはあり、それが「信販会社」です。
ジャックスやオリコなどがその代表で、これらの信販会社でもカードローンを行なっていますが、信販会社が行なっているカードローンについても、総量規制の対象となります。

クレジットカード(キャッシング)

意外にも、「クレジットカード会社」も総量規制の対象となる場合があります。それがクレジットカードを使ったキャッシングの場合です。

街中にあるATMを使って、国内はもとより海外でもお金を借りることができるクレジットカードを使ったキャッシングですが、キャッシングに関しては、カード会社が貸金業法に基づく貸金業者としてお金の貸付を行なっているため、貸金業法の総量規制が適用されます。

総量規制の対象とならない業者

貸金業者に該当しない業者は総量規制が適用されません。紛らわしいのですが、次に説明する業者は総量規制の対象とならないため、年収の3分の1以上お金を借りることができるのです。

銀行

まずは「銀行」です。銀行を管轄する法律は貸金業法ではなく「銀行法」ですので、貸金業法は適用されません。

信用金庫・信用組合・労働金庫

信用金庫を管轄する法律は「信用金庫法」、信用組合を管轄する法律は「協金法」、労働金庫を管轄する法律は「労働金庫法」であるため、銀行と同様に貸金業法は適用されません。

保険会社

保険会社が行う貸し付けとして、契約者貸付制度などがありますが、保険会社は「保険業法」で管轄されているため総量規制の対象ではありません。

質屋

「質屋」を管轄する法律は貸金業法ではなく「質屋営業法」ですので、貸金業法の網が直接かかることはありません。

総量規制の対象となる取引、ならない取引

総量規制の対象となる取引は、消費者金融や信販会社からの一般的な借入、クレジットカードを使ったキャッシングです。

では、総量規制の対象とならない取引にはどのようなものがあるのでしょうか。実は、次に説明する借り入れは総量規制の対象とならないため、年収の3分の1以上お金を借りることができるのです。

銀行カードローン

銀行カードローンのビジネスモデルは、消費者金融や信販会社とよく似ています。カードを発行して、限度額の範囲内であればATMから何度でもお金を借りられます。

似たようなビジネスモデルですが、消費者金融や信販会社は総量規制の対象となる一方で、銀行カードローンは総量規制の対象とはなっておりません。銀行の取引については、カードローンを含むすべてが総量規制の対象とはなっていないのです。

このため、銀行カードローンであれば、年収の半分(例えば、年収300万円の人が150万円借りる)ことが出来るのです。勿論、借りる人の属性(勤務先、信用情報など)にも寄りますし、銀行のカードローンの方が審査が厳しいので全員が当てはまるわけでありません。

多額のお金が急に必要となった場合には消費者金融よりも銀行カードローンを申し込んでみることをおすすめします。

住宅ローン

家や土地などの不動産購入のための住宅ローン(つなぎ融資を含む)や、リフォームのためのリフォームローンは総量規制の対象から除外されます。

自動車ローン

自動車購入のための自動車ローンは総量規制の対象から除外されます。

クレジットカード(ショッピング)

クレジットカードを使ったキャッシングは総量規制の対象となる取引ですが、クレジットカードを使ったショッピングは総量規制の対象とはなりません。クレジットカードのショッピングは、購入した商品を担保にして、お店にお金を立て替えている形をとっています。

担保なしでお金を貸し付ける消費者金融やクレジットカードのキャッシングとは、ビジネスモデルが異なるのです。1回払いはもちろんのこと、2回払いや分割払い、リボ払いで支払っても貸金業法は適用されません。

分割での商品購入

ジャパネットたかたでのテレビショッピングでは、「金利手数料は全てジャパネットが負担!」と宣伝していますよね。また、携帯電話の端末も結構高額ですので、24回の分割払いで購入する人も少なくありません。分割で購入すれば、毎月の端末支払い代金から一定金額を値引いてくれる、そんなサービスをしている通信事業者もあります。

このように、分割で商品を購入する取引に関しては、貸金業法ではなく「割賦販売法」が適用されます。よって、貸金業法に基づく総量規制も適用されないのです。

おまとめローン

借金の返済で困っている人の強い味方となるのが、「おまとめローン」です。「借り換えローン」「一本化ローン」などの名称がありますが、低金利の借入にまとめることで利息の支払い額を少なくする点では一緒です。

おまとめローンは、「一方的に利用者が有利になる取引」との理由で、総量規制の対象とはなっていません。銀行だけでなく、消費者金融でもおまとめローンを提供していますが、提供している業者にかかわらず、総量規制の適用は受けないのです。

奨学金

お金の心配をせずに学業に専念するためには必要な奨学金。奨学金を提供している団体によるのですが、育英会などから借りていれば、この団体は貸金業者ではないために貸金業法に基づく総量規制の対象とはなりません。

一方、信販会社などで教育ローンを組む場合には対象となります。

個人間の借金

「個人間の借金」についても、貸金業法は適用されません。お金を貸してくれる人が貸金業者でなければ、貸金業法は適用されないため、総量規制の対象とならないのです。

総量規制の基準となる「年収」、何が含まれる?

総量規制年収

総量規制は、年収の3分の1を上限としてそれ以上の借入ができない制度です。ところで、「年収」には何が含まれて何が含まれないのでしょうか。

年収に含まれるのは、以下の4つになります。

  • 給与収入(総支給額を示し、社会保険の控除分やボーナス、交通費・出張手当・扶養手当・残業手当・住宅手当など各種手当を含む)
  • 年金(公的年金、私的年金のいずれも含む)
  • 不動産の賃貸収入(賃料だけでなく、礼金や更新料、共益費なども含む)
  • 個人事業の事業所得(必要経費を控除した額)

これら4つ以外の収入については、総量規制の基準となる「収入」にはカウントされません。

仕事と関わりのありそうな退職金や投資による収入(FXや株など)、年金に関係しそうな保険金、不動産の賃貸収入と似ていそうな資産(土地や建物、宝石や権利など幅広いものが対象)の譲渡により得た収入、それ以外にも宝くじやTOTOによる収入、これらは全て、「年収」ではありません。

年収はどうやって申告するか

消費者金融やクレジットカード会社は、キャッシングやローン、クレジットカードの審査の際、総量規制に従って、申込者の年収を押さえておく必要があります。
どうやって年収を把握しているのでしょうか?

小額の借り入れであれば、自己申告で対応

実際、消費者金融で少額のお金を借りる際には、基本的には自己申告で構いません。審査の際もあまり厳しく年収に突っ込まれる質問はされません。
総量規制を厳格に適用するためには、貸金業者も利用者の年収を知っておかなければなりませんが、手間を考えて厳密には実施されていないのが実態です。

ただし、以下の2つの条件に該当する場合には、厳密に運用するように総量規制によって定められています。

  • 50万円以上のお金を貸金業者から借りるとき
  • 複数の貸金業者からの借入総額が100万円を越えるとき

以上の条件に該当する場合は収入を証明する書類を提出することが求められます。また、総量規制対象外の銀行カードローンでも、数百万円ものお金を借りたいときには同様に収入証明書の提出が求められます。

収入証明書

収入を証明するのに有効な書類としては、下記が挙げられます。

  • 源泉徴収票
  • 確定申告書
  • 納税証明書
  • 納税通知書
  • 年金証書
  • 年金通知書
  • 所得証明書

いずれも、最新の書類をコピー・スキャン・FAX・写真撮影して提出することになります。最近では消費者金融各社でスマホアプリを提供しており、アプリから写真撮影するだけで簡単に提出できるという新たな仕組みも出来ています。

総量規制を守ればお金を借りれる?

総量規制守れば借りれるお金

総量規制の範囲内ならば、必ずお金を借りれるかというと、そうではありません。例えば、年収300万円で総量規制の上限100万円を借りるのはかなり難しいことだと考えて下さい。

年齢、性別、年収、勤務先、勤続年数、他社の借入状況、信用状況などを総合的に判断した審査により借りられる額は決まります。業者によって異なりますが、初回の借り入れは年収の10%~20%が借り入れ額の目安とも言われています。

借りすぎに注意しつつ、カードローン・キャッシングをうまく利用することでストレスない生活を送るようにしましょう。

総量規制を越えて借りたらどうなる?

仮に総量規制の範囲を超えて、年収の3分の1以上の額を借りてしまった場合、どうなるのでしょうか?
ケースごとに見ていきましょう。

借り入れ後、年収が下がってしまった場合

例えば、これまで年収600万円であれば、200万円までの借入が可能です。
200万円借入をしたら、その後年収が300万円に下がってしまいました。
これではすでに年収の3分の1以上の借入があることになりますが、この場合利用者に特に罰則はありませんし、すぐに返済を求められることもありません。
ただし、新規での借り入れはできなくなります。

複数の業者から借りて3分の1を超えた場合

利用者から借入の申請があると、貸金業者は信用情報機関に利用者の情報開示を申請して、他社からの借入がどの程度あるかを見ます。
そこでしっかりとチェックしていれば、普通の業者は貸さないはずです。

しかし、業者のチェックミスなどで年収の3分の1以上貸し付けてしまった場合、貸し付けた業者には一定期間の営業停止処分などの行政処分が下ります。
この場合も、利用者には特に罰則がありませんし、一括で返済を求めれることもありませんので、安心してください。

まとめ

総量規制とは消費者金融などの貸金業者から年収の3分の1を超える金額を借りることができない、利用者を多重債務から守るために設けられた制度です。総量規制の範囲内でお金の借り入れを行うようにしてください。

総量規制でお金が借りられないからと言って、決してヤミ金に手を出してはいけません。どうしても首が回らなくなった場合は債務整理や公的融資などをうまく利用するようにしてください。